本日の講義「エネルギー変換工学」の中で,以下の熱力学関係式を使いました.
ここで,は温度,
はエンタルピー,
はエントロピー,
は圧力です.授業後に回収した大福帳(コミュニケーションカード)に質問があったので,式(1)の導出過程を示しておきます.
まず,エンタルピーは状態量ですから2つの状態量の関数となります.ここでとみなせば,その全微分は
と表すことができます.一方,熱力学の第1法則から,
が成り立ちます.ここで,は体積です.
式(2)と(3)の右辺を見比べてみれば,式(1)ならびに
が成り立つことがわかります.
ところで,式(1)をみると,示量性状態量を示量性状態量
で微分したものは示強性状態量
になっていることがわかりますね.一方,式(4)からは,示量性状態
を示強性状態量
で微分したものが示量性状態量
になることがわかります.だから何だと言われればその通りなのですが,何かのときに役立つかもしれませんww.
上述した示強性状態量と示量性状態量の関係性は,原島鮮先生の教科書「熱力学・統計力学(改訂版)」培風館(1978),p. 78に紹介されています.この本には他にも多くのユニークな「こぼれ話」が紹介されていて,まるで講義を聴いているように読み進めることができる,お薦めの教科書です.