Juliaに傷心(ハートブレイク)

2019年5月18日(土)に富山CiCビルで開催された第72回オープンCAE勉強会@富山で,プログラミング言語Juliaに関する話題提供を行いました.その内容をざっくり纏めてみましたので,ご紹介します.

報告内容

  • Juliaとは?
  • Juliaのインストール
  • Jupyterでの利用
  • Pythonとの速度比較(暫定版)
  • まとめ

Juliaとは?

Juliaは2012年に発表された新しいプログラミング言語であり,個人的には次のような特徴が気に入っています.プログラミングの導入教育には最適だと考えられます.

  • Python同様動的型付け言語だが,静的型付け言語に迫る実行速度を持つらしい.
  • 計算実行時にコンパイルするJIT(Just-In-Time)コンパイラを採用しており,PythonやRuby等のインタプリタと同じように簡単に利用できる.
  • Python同様,Jupyterをインターフェイスとして利用できる.

Juliaのインストール

公式サイトで各種OS用のインストーラが配布されています.私はmacOS版を手元のMacBookにインストールして使っています.

Mac版Juliaは,通常のアプリケーションとして登録されますので,ダブルクリックするとターミナル上でREPL (Read-Eval-Print Loop)環境が動作します.パッケージの追加・アップデートはこの環境で行うことができます.さらに,”?”をつけてコマンド等を入力すると詳しいヘルプ画面が表示されます.

Jupyterでの利用

私にとって最大のJuliaの魅力は,Jupyter notebookやJupyter lab上で実行できることです(そもそもJupyterの”Ju”はJuliaを指しているらしいので,当たり前と言えば当たり前ですが).

既にJupyterがインストールされていれば,Jupyterとの連携は簡単です.私の環境(Mac+Anaconda)の場合,JuliaのREPL環境で”]”をタイプしてpkgモードにした後,次のようにしてIJuliaパッケージをインストールすれば,Jupyterのカーネル・リストにJuliaが追加され,利用できるようになりました.

(v1.1) pkg> add IJulia

Pythonとの速度比較(暫定版)

Pythonプログラムと,それをJuliaに移植したプログラムとで計算速度の比較を行ってみました.

計算対象は,Barba先生のCFD-Python Step 5で取り上げられている2次元線形移流方程式

\displaystyle {\partial u \over \partial t}+c{\partial u \over \partial x} + c{\partial u \over \partial y}=0

の差分近似

\displaystyle u^{n+1}_{i, j} = u^{n}_{i, j} - c \Delta t \left( {u^n_{i, j}-u^n_{i-1, j} \over \Delta x} + {u^n_{i, j}-u^n_{i, j-1} \over \Delta y} \right)

です.これを以下の初期条件,境界条件の下で解いてみました.

初期条件:

u(x, y, 0) = \left\{ \begin{array}{c} 2 \quad \mbox{for} \quad 0.5 \leq x, y \leq 1 \\ 1  \quad \mbox{for everywhere else} \end{array} \right.

境界条件:

u(x, y, t) = 1 \quad \mbox{for} \left\{ \begin{array}{c} x=0, 2 \\  y=0, 2 \end{array} \right.

空間の分割数はx, y方向ともに80分割(n_x=n_y=81)で,100タイムステップn_t=100の計算にかかる時間を計測しました.

CFD-Pythonのコードのコア部分は以下のようなものです.

for n in range(nt + 1):
un = u.copy()
for j in range(1, ny):
      for i in range(1, nx):
           u[j, i] = un[j, i] – c * dt*( (un[j, i] – un[j, i – 1])/dx+ (un[j, i] – un[j – 1, i])/dy)

これをJuliaに移植すると

for n in 1:nt
     un = copy(u)
     for i in 2:nx-1
          for j in 2:ny-1
               u[i, j] = un[i, j] – c * dt*((un[i, j]-un[i-1, j])/dx+(un[i, j]-un[i, j-1])/dy)
               u[1, j] = 1
               u[nx, j] = 1
          end
          u[i, 1] = 1
           u[i, ny] = 1
     end
end

シンプルで,初心者にも分かり易いコードだと思います.このコードで計算した結果,Pythonコードでは2.5 s程度掛かっていた時間がJuliaコードでは0.41 sに短縮され,6倍程度高速になりました.

元になったPythonコードの計算過程も分かり易いのですが,3重のfor-loopで書かれていて,ものすごく遅いため,普段Pythonを使っている人は配列操作(Array Operation)を用いるようです.実際,CFD-Pythonでも配列操作を利用するコードが紹介されていて,こちらで計算すると6 ms程度で計算が終了しました.私が書いたJuliaコード(3重のfor-loopを用いたもの)の60倍以上のスピードが出ています(速い!).

せっかくJuliaを使ったのに配列操作を使ったPythonに惨敗という結果になりまして,傷心気味だったのですが,@ceptreeさんの記事「Juliaの速さを体感する」を見つけ,メインループの関数化を試みたところ,Juliaでの計算時間を0.14 sにまで短縮することができました.それでもなお,配列操作を使ったPythonコードにスピードでは圧倒的に負けていますので,引き続き,Juliaの高速化について調べてみたいと思っています.

まとめ

  • Juliaはシンプルで使いやすい(あくまでも,個人の感想です).
  • Jupyterをインターフェイスとして使用できる.
  • Juliaはfor-loopを使ったPythonよりは速いが,配列操作を使ったPythonより遅かった.(引き続き,検討予定)
  • Juliaでは,関数内にfor-loopをまとめると計算速度が向上する.

ウィルスは生きている!

中屋敷均著「ウィルスは生きている」(講談社現代新書)を読みました.中屋敷先生の本を読むのは,「科学と非科学」(講談社現代新書)に続いて,2度目となります.「科学と非科学」同様,抜群の面白さで,一気に読んでしまいました.

圧巻は第3章で紹介されたカリヤコマユバチという寄生バチの話.その驚きの生態はもちろん,ウィルスとの奇妙な共生関係を知るにつれて,自然界の不思議さを再認識した次第です.


OpenFOAM6をMacにインストールしてみました.

The OpenFOAM foundation Ltd.によって配布されているOpenFOAM 6を手元のMacにインストールしてみました.ESI-OpenCFD版と同様Dockerで配布されていますが,コンテナから直接ParaViewが使えて,超便利です!😆

OpenFOAM 6 for Macのイントールはこちらから

追記:コンテナから直接ParaViewが使えるのですが,私の使用環境(MacBook)では動作が遅くて,使いものにはなりませんでした.Mac版ParaViewから操作する方が快適でした.😅

本研究室の研究成果が国際会議プロシーディングスに掲載されました.

われわれの研究成果が国際会議プロシーディングスに掲載され,オンラインで公開されました。

Sakamura Y., Oshima M., Nakayama K., Motoyama K. (2019) Shock-Induced Motion of a Spherical Particle Floating in Air. In: Sasoh A., Aoki T., Katayama M. (eds) 31st International Symposium on Shock Waves 2. ISSW 2017. Springer, Cham

第14回学際領域における分子イメージングフォーラムで研究成果を発表しました.

2019年3月8日(金)にJAXA調布航空宇宙センター開催された標記フォーラムで研究成果をポスター発表しました.

・ポスタータイトル:感温発光薄膜を用いた微細流路内壁面の温度イメージング

・著者名:加藤巧也・大嶋元啓(発表者)・坂村芳孝・川端繁樹

日本機械学会 北陸信越支部 第56期総会・講演会で研究成果を発表しました.

2019年3月2日(土)に富山大学五福キャンパスで開催された標記講演会におきまして,本研究室の研究成果を発表しました.

演題:2温度モデルを用いた非平衡窒素プラズマ流れの数値シミュレーション

著者:八重尾猛史(登壇者),坂村芳孝,大嶋元啓

ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド 著(上杉周作,関美和 訳)『FACTFULNESS』は今年一押しの一冊!

人の脳(考え方)にはある種の「クセ」(認知バイアス)があることは多くの人が指摘しているところですが,本書を読むことで,どうすればそれらを克服し,世界を正しく認識できるのかを,具体的な事例を通じて学ぶことができます.何より,客観的データに基づいて物事を捉えようとする著者等の姿勢は科学者・技術者の見本でもあります.学生の皆さんには是非読んでもらいたい一冊です.著者らによる素晴らしいプレゼンはこちらから.こちらもオススメの動画です.

Free teaching material from www.gapminder.org

 

流体工学シンポジウム2018で研究成果を発表しました.

2018年12月15日(土)に福井大学で開催された標記シンポジウムにおいて研究成果を発表しました.

演題:感温発光薄膜センサを用いた微細流路壁面の温度計測

著者:加藤巧也(登壇者)・坂村芳孝・川端繁樹・大嶋元啓・光崎雅大

本研究は,JSPS科研費JP26420120の助成を受けたものです.